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索引  

 
準占有
ジュンセンユウ

 準占有とは,自己のためにする意思で財産権を行使することです.権利占有ともいいます.物の占有に対し財産権の占有ともいえるもので,物権,債権,無体財産権等について成立します.例えば,預金通帳と印を持った者は預金債権の準占有者である,というわけです.

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弁済の提供
ベンサイのテイキョウ
  現実の提供
  ゲンジツのテイキョウ
  口頭の提供
  コウトウのテイキョウ

1.定義
 弁済の提供とは,債務者が約束の内容を実現するために必要な準備をして,債権者に弁済の受取りを求めることをいいます.この弁済の提供が有効になるための要件について規定しているのが493条です.493条には,弁済の提供が有効になるためには,@債務の本旨に従った,A現実の提供,又は,口頭の提供が必要だ,としています.
 現実の提供とは,債権者が目的物をただ受け取るだけでそれ以外は何もしなくてよいほどの提供を債務者がする場合をいいます.ただし,債権者があらかじめ受領を拒んだとき,又は,債務の履行につき債権者の行為を要する場合は,口頭の提供で足りる,としています.
 口頭の提供とは,債務者が,現実の提供をするのに必要な準備を完了して,債権者にその受取り(受領)を催告することをいいます.口頭の提供となるための要件は,@現実の提供をするのに必要な準備を完了すること,Aそれを債務者に通知して,受取りの準備をしてもらうこと(受領の催告)の2点です.

2.具体例
 話が抽象的になってしまいました.具体例をあげましょう.
 現実の提供とは,債権者が目的物をただ受け取るだけでそれ以外は何もしなくてよいほどの提供を債務者がする場合でした.これは,代金を相手方の所へ持参して支払うと約束している場合,約束の場所に代金を持参し,「代金です.どうぞお受取りください」と目の前に示す(=提供する)ということです.対して,債務者が,現実の提供をするのに必要な準備を完了して,債権者にその受取り(受領)を催告すること口頭の提供といいました.これは次のような場合です.あなたがCD屋さんで,あるCDを注文して,「入荷次第連絡ください」というケース,こういうことはよくありますね.するとCD屋さんは当該CDの発注をかけるわけです.で,お店に入荷次第,あなたに引き渡す準備をして,その上で,あなたに「ご注文いただいたCDが入荷しました(=準備ができました)ので,ご都合のよろしい時にご来店ください」などと連絡(=通知,受領の催告)をするわけです.この準備と通知で口頭の提供が行われたことになる,というものです.

弁済による代位
ベンサイによるダイイ

 「弁済による代位」とは,弁済が最終的な債務者でない者によって行われた場合,債務者について消滅した債権者の権利が求償権の範囲で,その弁済者に移転する制度のことです.

 よろしいでしょうか.ちょっとややこしいですね.
 弁済が最終的な債務者でない者によって行われた場合,その弁済をした者は,債務者に対して,弁済額の返還を請求する権利を持ちます.これが求償権です.弁済による代位とは,この求償権を確保するために,債権者が債務者に対して持っていた権利,例えば貸金債権が,弁済をした第三者に移転するという制度です.
 具体的には,次のような例です.債権者Aが債務者Bにお金を貸しており,この契約についてCが保証人となっています.つまり,債権者Aは債務者Bに貸金債権を有しているわけです.この状況で,保証人Cが債務者Bに代わって,保証人として債権者Aに債務者Bが借りたお金を弁済しました.この場合,保証人Cは債務者Bに対して自分が弁済したお金について債務者Bに求償する権利を有します.この求償権を確保するために,債権者が債務者に対して持っていた権利=しかし,保証人Cの弁済により債権者Aからは消えてしまった権利=貸金債権が弁済した保証人Cに移転する,というのが弁済による代位,というわけです.

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債務不履行
サイムフリコウ

 履行遅滞
 リコウチタイ
 履行不能
 リコウフノウ
 不完全履行
 フカンゼンリコウ

 

 「債務不履行」とは,文字通りで,債務者が債務を履行しない,ということです.こういう時,どう解決するか,という話ですね.債務不履行には@履行遅滞(リコウチタイ:債務の履行が遅れること),A履行不能(リコウフノウ:履行ができなくなること),B不完全履行(フカンゼンリコウ:不完全な履行しかできないこと,他@A以外で完全履行できない場合すべてを含む)の三つがあります.ポイントは,債務不履行が成立するには,単に履行されないという事実があるだけでは足りず,不履行について債務者に帰責事由があることが必要な点です.

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解除
カイジョ
 解除権
 カイジョケン

 

 「解除」とは,契約が有効に締結された後に,契約当事者の一方だけの意思表示によって,契約関係を遡及的に消滅させることをいい,この意思表示のできる地位あるいは資格を解除権といいます(民法540条〜548条)
 要は,契約の解除とは,契約をなかったことにしてしまうことで,それができる権利を「解除権(カイジョケン)」というわけです.

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原状回復義務
ゲンジョウカイフクギム

 

 民法545条第1項本文に,「当事者の一方がその解除権を行使したときは,各当事者は,その相手方を原状に復させる義務を負う」と定められた「原状に復させる義務」のこと.つまり,解除権が行使された場合は,両当事者とも「原状に復させる義務」すなわち,元の状態(契約締結時の状態)に戻す義務を負う.「現状」では無いので注意.

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責(セ)めに帰(キ)することが
できない事由(ジユウ)

 

 「責めに帰することができない事由」というのがわかりにくいですね.「責め」とは,「責任」の意味です.「帰する」は「負わせる」ですから,「責任を負わせることができない事由」という意味になります.なお,「責めに帰すべき事由」(「責任を負わせることができる事由」)を「帰責事由(キセキジユウ)」と言います.

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連帯債務
レンタイサイム
分割債務
ブンカツサイム

 

 「連帯債務」とは,数人の債務者が各自独立に同一内容の給付について全部の履行をすべき義務を負担し,そのうちの1人が履行したときは,すべての債務者が債務を免れる債務関係のことです.
 ちょっとピンとこない感じですね.分割債務と比較して考えるとわかりやすいかもしれません.分割債務(ブンカツサイム)とは,多数人で債務を負担する場合,債務を各債務者が分割して負担することをいいます.つまり,債権者は,各債務者からそれぞれの債務を回収しなければならないわけです.さらに,1人の債務者が支払いできなかった場合,その不利益を被るのは債権者,ということになるのです.
 対して,債権者が,各債務者のだれにでも,代金の負担部分に関係なく債権額全額を,どんな順番でも,請求できる,というのが,連帯債務なのです.
 なお,民法では,債務者が複数いる場合は,「分割債務」を原則としています.

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連帯保証 レンタイホショウ
1.定義

 「連帯保証」とは,保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担する場合をいいます.ところで,皆さん,「連帯債務」とか,「連帯保証」といいますが,そもそも「連帯」というのはどういう意味でしょうか.『広辞苑第五版』(岩波書店)をひもとくと,「二人以上が連合して事に当り,同等の責任を帯びること」とあります.最近はあまり流行りませんが,昔の軍隊などでは,「連帯責任」というのがあったという話を聞いたことはありませんか?これは誰か一人が失敗をすると,その人が属する集団の構成員全員の責任とされ,罰を受ける,というものでした.まさに,「二人以上が連合して事に当り,」それで誰か一人が失敗したら,その人の失敗には直接関係ない人も同じ集団の構成員という理由で「同等の責任を帯び」て,罰を受ける,というわけですね.
 あまり上品な例ではなくて恐縮ですが,「連帯債務」「連帯保証」の「連帯」も基本的にこの「連帯責任」の「連帯」と同じ意味です.そこで,ここでも通常の「保証」と「連帯保証」を比べることにより.「連帯保証」の性質を把握することにしましょう.

2. いわゆる「保証」(通常保証)の
場合


催告の抗弁権
サイコクのコウベンケン
検索の抗弁権
ケンサクのコウベンケン

 いわゆる「保証」(通常保証)とは,債務者が債務の履行をしないときに,債務者に代わって債務を履行する義務を負うことですね.つまり,単なる保証であれば,債務者が債務を履行しないとき,はじめて保証人が債務者の代わりに債務を履行する義務が発生するわけです.従って,保証人には,債権者が主たる債務者に請求する前に,いきなり保証人に債務の履行を請求してきた場合,「まずは,主たる債務者に請求せよ」と主張できる権利を有しています.これが「催告の抗弁権」(民法452条)です.さらに,債権者が主たる債務者に請求した後でも,保証人は,「まずは,主たる債務者の財産について執行せよ」と,債権者の請求を拒む権利も有しています.これが「検索の抗弁権」(民法453条)です(もっとも,保証人がこの抗弁権を行使するには,@主たる債務者に弁済の資力があること,かつ,Aその執行が容易なこと,の2点を証明する必要があります).

3.対して「連帯保証」とは

 端的に言うと,単なる「保証」に認められている二つの抗弁権,すなわち@「催告の抗弁権」A「検索の抗弁権」が認められていないのが連帯保証ということになります.従って,債権者から保証債務の弁済を請求された場合,直ちに,弁済しなければなりません.先ほど説明した「連帯」の意味を思い出してください.「二人以上が連合して事に当り,同等の責任を帯びること」でしたね.この「同等の責任を帯びること」が重要で,要は連帯保証人とは,主たる債務者と同等の責任を帯びる,例えば主たる債務者が消費貸借契約で100万円借りて,その連帯保証人になったら,その人は結果として100万円は借りていないにもかかわらず,100万円を借りた主たる債務者と同じ責任を負うことになってしまうのです.ですから,実際の話でもドラマ等の話でもこの連帯保証人になったばかりに云々,という話を聞くわけです.なお,実務では,単なる「保証」が使われることはなく,基本的に「連帯保証」が使われています.

4.保証契約は誰と誰が結ぶか

 最後に,保証契約の当事者についてお話しておきます.AさんがBさんに100万円を貸しました(債権者A - 債務者B間の100万円消費貸借契約).この保証人にCさんがなるわけですが,さて,Cさんの保証契約の相手方はAさんでしょうか,Bさんでしょうか?皆さん,どう思われますか?恐らくBさんは必死に頼み込んでCさんに保証人になってもらったのでしょうね.ただし,そのことと保証契約の相手方は関係ありません.保証契約とは,あくまでも保証人になろうとしているCさんと債権者Aさんとの間で結ばれるのです.これはなぜでしょうか.今申し上げた通り,保証契約の当事者はC - Aです.つまり,債務者Bは当事者ではないということです.ということは,債務者Bと保証人Cの間の事情による影響は受けない,ということです.具体的には,保証人を頼む債務者Bさんは必死ですから「絶対に迷惑はかけない」とか「形だけ,名前を貸してくれ」等と言うのでしょう.しかし,それでも債務者Bさんが破産してしまうことはありますね.これでは保証人Cさんもおさまらず,「Bが絶対に迷惑はかけない,形だけ名前を貸すという約束だった」と言いたいところでしょうが,A - C間の保証契約は,この事情による影響を受けません.結果,Cさんはそのような主張はできないし,また仮にしても聞き入れられることはないのです.また,Bさんが破産すると100万円を返す必要はなくなりますが,このこととA - C間の保証契約は別契約ですから,保証人Cさんは依然,100万円を返さなければならないのです(これは非常に乱暴な例えで,不正確ですが,話を単純にするため,簡略化しています).債務者が夜逃げをしたため,保証人が苦労するという話は,こういった状況の話なのです.

 これは単なる保証でも,連帯保証でも同じですから,是非覚えておいてください.

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共同保証
キョウドウホショウ
分別の利益
ブンベツのリエキ
保証連帯
ホショウレンタイ

 保証人が2人以上いる場合を共同保証と呼びます.このように,複数の保証人が,それぞれ単純な保証債務を負担した場合,債務額は保証人の数に応じて分割されるのが原則です(456条).つまり,1,000万円の債務について,二人が保証人となれば,各保証人が負担する保証債務は500万円ずつということになります.これを共同保証人の分別の利益というわけです.しかし,これでは債権者の立場にたつと,保証人をつけた意味が乏しくなるため,多くの場合,特約により各保証人が債務全額の負担をする「保証連帯」の形がとられています.さらに,連帯保証人についても,分別の利益がない,というのが判例(大判大正6年4月28日民録23輯812頁)・通説の立場です.

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絶対効
ゼッタイコウ
相対効
ソウタイコウ

 

 連帯債務者の1人について生じた事由が,他の債務者に影響を与えることを「絶対的効力」=「絶対効」と言います.もっとも,ご注意いただきたのは,この「絶対効」はあくまでも例外だということです.つまり,原則は,「相対的効力」=「相対効」だということです.ということは,連帯債務において,各債務者が負う債務は,本来,それぞれ別個独立していますから,特に定められた絶対効の事項(弁済(代物弁済)・供託・相殺・更改・請求・混同・免除・時効なのですが,詳細は省きます)以外は,連帯債務者の1人について生じても,他の連帯債務者に影響は及ばない(民法440条),すなわち「相対効」となるわけです

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共同申請の原則
キョウドウシンセイのゲンソク

 不動産登記は,賃借人と賃貸人(登記権利者と登記義務者,又はこれらの者の代理人)が共同して申請しなければならない(不動産登記法60条)という原則.

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売主(ウリヌシ)の
担保責任(タンポセキニン)

 担保責任とは,売買の目的物に欠陥がある場合に売主が負う責任をいいます.
 具体的に説明しましょう.
 売買契約とは,当事者の一方(売主)がある財産権を相手方(買主)に移転することを約束し,相手方(買主)がこれに対してその代金を支払うことを約束する契約をいいます.有償・双務・諾成の契約で,典型契約の一つとして民法に規定されているのは,皆さん,ご承知の通りです.この代金は,皆さんがスーパー等で日常的に買い物をする場合のように,明確に決まっている場合もありますし,土地,建物といった不動産のように,交渉により価格が決定する場合もあります.
 ただし,いずれの場合も,売主はこの値段なら手放してもよい,買主はこの値段なら出しても惜しくないといったように,売買の目的物と代金の間には一定の均衡が保たれている,と考えられます.これが保たれていなければ,売主としては「そんな安い値段では売れない」と思い,買主としては「そんなに高いのなら買わない」ということになり,この売買契約は不成立ということになるわけです.つまり,この「均衡」は当該契約の成立,不成立を決する重要な役割を担っているということです.
 しかし,売買契約が成立した後に「不均衡」となる場合があります.例えば,建物なら土台の一部(通常見ることができない部分)が腐食によりボロボロになっていることが買ってからほどなく判明した,といったような場合です.当然,それには修理が必要で,この修理にもお金がかかります.買った方からすれば,購入後すぐ修理にこれだけのお金がかかるなら,その分,購入代金から引いておくべきだったと思うでしょうし,場合によっては,購入前に知っていたらこの物件は買わなかったという場合もあるでしょう.いずれにせよ,この場合は,家の土台が腐食しているという欠陥のために,買主が買った価格と目的物の均衡は保たれていないと判断しているわけです.つまり,買主は,実際の目的物(土台の腐食した家)の価格として,実際に購入した金額は見合ったものではないと考えているということです.土台が腐っていないことを前提に取引された家の価格が土台の腐っている家の価格として見合っていないということは,買主だけではなく,誰もが思うことでしょう.つまり,買主にとって著しく不公平だということです.当然,この不公平は是正されなければなりません.そこで,家の土台が腐っていたという欠陥に対する責任は売主に負わせよう,具体的には欠陥部分に対する損害賠償を認める等しようというわけです.これが売主の担保責任です.
 こういった趣旨ですから,売主の担保責任は,有償契約にしか発生しませんし,売主の故意・過失に関係なく負わなければならない無過失責任となっています.
 民法は,売主の担保責任について,下記6つを規定しています.

(1)561条:全部他人物売買における売主の担保責任
(2)563条:一部他人物売買における売主の担保責任
(3)565条:数量指示売買における数量不足,物の一部滅失に関する売主の担保責任
(4)566条:地上権・賃借権等による制限がついている場合の売主の担保責任
(5)567条:抵当権等による制限がついている場合の売主の担保責任
(6)570条:瑕疵担保責任

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隠(カク)れた瑕疵(カシ)

 売買の目的物に「隠れた瑕疵」があることは,売主の瑕疵担保責任が生ずる要件となっています(570条).
 ここにいう「隠(カク)れた」とは,取引上要求される一般的な注意では発見できないことをいいます.要は買主が瑕疵について善意無過失であることが必要なわけです.
 「瑕疵(カシ)」とは,目的物が通常有する品質や性能を有していないことです.「瑕疵」というのは,もともと「キズ」という意味ですが,法律上使われる場合は,「欠陥」といった言葉になぞらえるとわかりやすいと思います.
 まとめると,「隠れた瑕疵」とは,取引上要求される一般的な注意では発見できない,買主が善意無過失な欠陥=目的物が通常有する品質や性能を有していないこと,ということになります.

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貸借契約
タイシャクケイヤク

 物の貸し借りに関する契約を「貸借契約」といって,民法では三つ規定しています.賃料というお金で物の貸し借りをするのが,「賃貸借契約」です.対して,タダで物の貸し借りをするのが,「使用貸借契約(シヨウタイシャクケイヤク」(593条)です.この二つ(「賃貸借契約」と「使用貸借契約」)は,借りた物を元の状態に戻して返さなければなりません.部屋や車を借りたら,その部屋,車そのものを借りた時の状態にして返す必要があるわけです.しかし,これでは貸し借りそのものが無意味となってしまう貸し借りがあります.それはお金の貸し借りです.お金は使う=消費することを前提に借ります.それを借りたお金そのもの,札番号も一緒な,お金を返さなければならないというのなら,そのお金を消費することはできず,借りる意味がありません.そこで,お金の貸し借りの場合は,借りたお金そのものではなく,これと同種・同等・同量の物を返還すればよい,ということになっています.これが「消費貸借契約(ショウヒタイシャクケイヤク)」(587条)です.
 以上の三つ(「賃貸借契約」・「使用貸借契約」・「消費貸借契約」)が,13種類の典型契約の「貸借契約」という1グループとして,民法に規定されているわけです.

賃貸借契約
チンタイシャクケイヤク

 賃貸借契約は,当事者の一方が相手方に物の使用及び収益をさせ,相手方が,これにその賃料を支払うという契約です(民法第601条【賃貸借】:賃貸借は,当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し,相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって,その効力を生ずる).この契約によって,相手方に物の使用及び収益をさせる債務を負う者を賃貸人(チンタイニン),賃貸人に対してその賃料(チンリョウ)を支払う義務を負う者を賃借人(チンシャクニン)といいます.さらに,賃借人が賃貸人に対して有する債権を賃借権(チンシャクケン)といいます.
 さて,この賃借権ですが,賃借人が物の使用及び収益をできることから,物権に似た性質を有しており,これを「賃借権の物権化」と言います.

転貸借
テンタイシャク

 AがBから借りた建物を自分では使わずに,Cに貸しているケースです.いわゆる「又貸し」と言われるものですが,このような「賃借人が賃借物を第三者(転借人)に使用収益させること」を,民法では「転貸借(テンタイシャク)」,あるいは単に「転貸」と言います.

使用貸借契約
シヨウタイシャクケイヤク

 民法593条は,使用貸借は,当事者の一方が無償で使用および収益をした後,返還することを約束して,相手方からある物を受け取ることによって効力を生じる,と規定されています.
 同条は,要物契約としての使用貸借の効力発生要件を規定しています.つまり,当事者の一方(借主)が,ある物を無償で使用収益したのち,その物の返還を約する合意をなし,相手方(貸主)からその物の引渡しを受けることによって,使用貸借が成立する,というわけです.
 なお,使用貸借契約の性質は,無償・片務・要物契約です.

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債権者取消権
サイケンシャトリケシケン
詐害行為取消権
サガイコウイトリケシケン

 債権者取消権は,詐害行為取消権ともいわれます.要は,債務者がその債権者を害することを知って法律行為をした場合に,債権者が,その法律行為の取消しを裁判所に請求することができる権利のことです(民法第424条【詐害行為取消権】:@債権者は,債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる.ただし,その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは,この限りでない. A前項の規定は,財産権を目的としない法律行為については,適用しない.※条文の解説は行政書士講座第10回12-A参照)
 具体的に考えてみましょう.
 AはBに対して500万円の債務を負っています.その債務は売買代金等なんでもいいわけですが,とにかくAはBに対して500万円の債務を負い,逆にBはAに対する500万円の債権を有している,ということにしましょう.このとき,債務者Aが500万円の債権者Bを害する行為であることを知りながら,債務者Aの唯一の財産である土地を第三者のCに贈与してしまった,というような場合です.このような場合,Bは,自分のAに対する500万円の債権を保全するために,債務者A - 第三者C間で行われた贈与契約を取り消すことができるのです.この権利が,債権者取消権,又は,詐害行為取消権というわけです.

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委任契約
イニンケイヤク

 委任契約は,当事者の一方が,法律行為をなすことを相手方に委託し,相手方が,これを承諾することで成立する契約です(民法第643条【委任】:委任は,当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを承諾することによって,その効力を生ずる.本条の条文解説は宅建講座第15回4 - A参照).委託をする人を委任者(イニンシャ),委託を承諾する人を受任者(ジュニンシャ)といいます.なお,ポイントは,委任契約は原則無償である点です(無償・片務・諾成).もちろん,特約により,有償とすることは可能(有償・双務・諾成)です.
 また,法律行為でない事務を委託する場合を,「準委任(ジュンイニン)」(契約)といいます(民法第656条【準委任】:この節の規定は,法律行為でない事務の委託について準用する)
 ところで,この「法律行為をなすことを相手に委託する」とは,具体的にどのようなことでしょうか.以前,お話しましたが,法律行為の代表例として「契約」を挙げました.例えば,AさんがBさんに土地の売買(土地の売買契約締結作業)を委託する,といったものです.一般に,契約をはじめとする法律行為を素人に委託する人,というのは少ないですね.普通は弁護士に頼むと思います.弁護士に依頼する際の契約は,通常,この委任契約なのです.また,「準委任契約」の典型例は,医師との診療契約といわれています.皆さんが病院に行って,診察してもらいますね.この時,当然あなたと医師なり,病院の責任者なりと契約を結んでいるのです.何の契約か,売買契約や賃貸借契約ではないことはお分かりと思いますが,具体的に何の契約かというと困ってしまいますね.実は,準委任契約が結ばれていたのです.
 この「委任契約」は,民法の典型契約の中では,「労務提供型契約(ロウムテイキョウガタケイヤク)」というグループに分類されます.このグループには,委任契約の他,労務の提供に対して賃金を支払う契約である「雇用契約(コヨウケイヤク)」,仕事の完成に対して報酬を支払う契約である「請負契約(ウケオイケイヤク)」,物を保管する契約である「寄託契約(キタクケイヤク)」の四つからなります.この中で,「寄託契約」については,他との違いが明白ですが,「委任」「請負」「雇用」の違いが今ひとつわかりませんね.「委任」との違いで説明すると,「雇用」とは,労務提供者の独立性があるという点で区別されるし,「請負」とは,労務の提供そのものに意味があるとして区別されます.

委任契約における委任者の義務
1. 立替費用償還義務
タテカエヒヨウショウカンギム

 委任契約において,受任者が委任事務を処理すために立て替えた費用は,その費用に支出の日以降の利息も含めて委任者に請求することができます(650条第1項).これは,あくまでも立替経費の問題で,報酬ではありませんので,注意してください.
 これを委任者の立替費用償還義務といいます.

2. 債務弁済義務
サイムベンサイギム

 委任契約において,受任者が委任事務を処理するために必要な債務を負担したときは,委任者は,その弁済をしなければなりません(650条第2項前段).
 これを委任者の債務弁済義務と言います.

3. 担保供与義務
タンポキョウヨギム

 委任契約において,受任者が委任事務を処理するために必要な債務を負担したときで,債務の弁済期が到来していないときは,相当の担保を提供しなければなりません(650条第2項後段).
 これを委任者の担保供与義務と言います.

4. 損害賠償義務
ソンガイバイショウギム

 委任契約において,受任者が委任事務の処理をするために自己に過失なく損害を受けたときは,委任者に対してその賠償を請求することができます(650条第3項).
 これを委任者の損害賠償義務と言い,これは無過失責任とされています.

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善管注意義務
ゼンカンチュウイギム

 「善良な管理者の注意をもって(委任事務を)処理する義務」を「善管注意義務」と言います(644条).これは,委任契約における受任者等の職業や社会的地位から考えて,普通に要求される程度の注意義務をいい,「自己の財産におけると同一の注意」(民法659条:【無償受寄者の注意義務】:無報酬で寄託を受けた者は,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,寄託物を保管する義務を負う)より一段レベルの高い注意義務とされています.

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組合契約
クミアイケイヤク

 組合契約は,民法667条により各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約束することによって効力が生じるとされ,労務による出資をすることもできるとされています.
 要は,2人以上の当事者が共同の事業を達成する目的で,相互に金銭その他の財産の出資または労務の提供を約束することによって成立する,諾成,双務,有償契約ということです.
 例えば,A・B・Cの三人が,それぞれ土地,財産,労務を提供して一つの事業を営むことを約束するような場合で,継続的事業でも一時的事業でもよく,目的も営利・公益・親睦等を問いません.このように,人が集まって一つの事業を起こそうというものですから,社団に類似しています.このため,確かに組合は契約ではありますが,契約における通則的規定の適用が排除されます.具体的には,同時履行の抗弁権,危険負担,解除,担保責任などの適用がありません.

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贈与契約
ゾウヨケイヤク

 贈与は,当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えるとの意思表示をし,相手方がこれを受諾することによって効力を生じる諾成・片務・無償契約です(549条).

 要は,「この自動車をタダであなたにあげましょう」という自己の財産を無償で相手方に与えるとの意思表示をし,相手方も「ありがとうございます.頂戴します」という受諾をすることで成立し,効力を発する,というわけです.

定期贈与契約
テイキゾウヨケイヤク

 定期の給付を目的とする贈与を「定期贈与」と言います.例えば,毎月一定額を贈与する,学生である息子に対して親元からの仕送りが毎月なされているような場合です.この定期贈与は,贈与者(仕送りの例では「親」)または受贈者(仕送りの例では学生である息子)の死亡により効力を失う,と民法552条には規定されています.
 定期金を目的とする贈与契約は,通常は贈与者・受贈者間の特別な一身上の関係(例えば親子)に基づくものであり,その契約の効力を相続人に及ぼさないと解するのが当事者の意思に合致することから,贈与者,受贈者のいずれかが死亡すれば,その贈与契約は当然失効すると定められています.

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債権の発生原因
サイケンのハッセイゲンイン
債権の消滅原因
サイケンのショウメツゲンイン

 民法は,債権の発生原因を四つ定めています.すなわち,@契約 A事務管理 B不当利得 C不法行為です.対して,消滅原因は,@内容実現による債権の消滅(弁済・代物弁済・供託) A内容実現不能による債権の消滅 B内容実現不必要による債権の消滅(相殺・更改・免除・混同)の三つを定めています.

債務の履行
サイムのリコウ
弁済
ベンサイ

 契約等により負担した義務=債務を果たすこと「債務の履行(サイムのリコウ)」と言います.そして,この義務(債務)を果たす方法はいくつかあるわけですが,その中心的方法の一つが「弁済」というわけです.すなわち,「弁済(ベンサイ)」とは,債務者が契約に従って,債務の内容を実現する行為のことを言うわけです.最も一般的な例を挙げるなら,自動車の売買契約において,売主の自動車を引き渡す行為,買主の自動車代金を支払う行為をともに「弁済」というわけです.民法では,第三編:債権,第一章:総則,第五節:債権の消滅,第一款(474条〜504条)が「弁済」という項目で,細かく規定されています.

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特定物
トクテイブツ
不特定物
フトクテイブツ

 不特定物とは,具体的な取引にあたって,当事者が単に種類,数量,品質等に着目しその個性を問わずに取引した物で,物の個性に着目した特定物に対する概念です.要は,「このビールください」といって1本のビールを指した場合のビールは特定物になりますが,「ビール10本ください(どのビールでもいいが,とにかく10本のビールをくれ)」といった場合の「ビール」は不特定物になる,といったことです.ある物と同一の物がこの世に存在する場合が不特定物存在しない場合が特定物,と考えてもわかりやすいかもしれません.

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不法行為
フホウコウイ

 不法行為とは,他人(加害者)から法律上の理由もなく,被害者が損害を加えられた場合に,その損害を賠償してもらう制度のことです(民法709条,条文については709条条文解説参照).被害者の救済・損害の公平な分担が制度の趣旨です.

●一般不法行為と特殊不法行為
 不法行為には,「一般不法行為(イッパンフホウコウイ)」「特殊不法行為(トクシュフホウコウイ)」の二つの類型があります.単に「不法行為」といった場合,「一般不法行為」を指すということも覚えておきましょう.また,不法行為は,それが一般であれ,特殊であれ,債務不履行とともに損害賠償請求権の二大発生原因と言われています.言い方を換えれば,民法で損害賠償請求権が発生するのは,原則債務不履行と不法行為(一般・特殊)の場合,と言うことです.さらに,不法行為の要件に故意・過失がありますが,これは故意・過失がなければ,たとえ,他人に損害を与えてしまっても,損害賠償責任は負わないということです.この前提には民法の四大原則の一つ,過失責任の原則がきいています.
 一般不法行為と特殊不法行為の違いは大きく2点あります.一つ目は,適用される場面が限定されている特殊不法行為とそういった制限のない一般不法行為,二つ目は,特殊不法行為の場合,加害者の故意・過失の有無の立証責任は被告,すなわち加害者側にありますが,一般不法行為の場合は,原告,つまり被害者側にある点です.
 ところで,先述の通り,特殊不法行為は適用される場面が限定されているというお話でした.それは,次の五つです.すなわち,@責任無能力者の監督責任(714条),A使用者責任(715条),B工作物責任(717条),C動物占有者の責任(718条),D共同不法行為(719条)です.これらが各々どういう概念か,不明確な方は,各自で復習しておいてください.

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危険負担における債権者主義と
債務者主義
キケンフタンにおけるサイケンシャシュギとサイムシャシュギ

 危険負担において,後発的に不能となった債権を基準にして,「債権者」主義や「債務者」主義が議論されています.売買の目的物が滅失した事例でいえば,目的物の引渡請求権の債権者,すなわち買主が危険を負担すべき(=代金を支払うべき)とするのを債権者主義というわけで,代金債権を基準にして論じているわけではありません.
 わが国の民法では,双務契約一般における危険負担の原則としては,536条1項により債務者主義(売主が危険を負担すべき)をとりながら,534条において,特定物(「不特定物については特定時から」534条2項)に関する物権の設定又は移転を目的とする契約については,例外として債権者主義(買主が危険を負担して代金を支払うべき)をとっています.結果として,実際上は広範な債権者主義の適用を認める結果となっています.もっとも,危険負担に関する規定は,任意規定であって,特約によって排除することができます.実際,建物等の不動産(特定物)実務においては,特約によって売主が危険を負担する,すなわち債務者主義(売主が危険を負担すべき)がとられることが多いようです.

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信頼関係破壊法理
シンライカンケイハカイホウリ

 賃借権による無断譲渡・転貸が「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合」には,民法612条の解除権は発生しないという,判例法理.

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必要費
ヒツヨウヒ

 賃貸借契約における「必要費」とは,目的物の原状を維持,回復する費用に,賃借物を通常の用法に適する状態に保全する費用も含んだ費用をいいます.具体例としては,畳の入れ替え,割れたガラスの費用,トイレの修理などが挙げられます.

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有益費
ユウエキヒ

 賃貸借契約における「有益費」とは,目的物自体を改良してその客観的価値を増加させた費用に加え,目的物以外の物に加えた改良によって目的物の価値を増加させた費用も含んだ費用をいいます.具体例としては,下水道の設置,壁紙のはりかえ,建物の増築,私道の舗装などの費用が挙げられます.

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金銭賠償主義
キンセンバイショウシュギ

 別に意思表示がなければ,損害賠償の額は金銭によって決めるという,損害賠償の方法の考え方.

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現実弁済の原則
ゲンジツベンサイのゲンソク

 被害者に現実の損害の填補を得させることで被害者の保護を徹底するという原則.

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免責