宅建講座「過去問に学ぶ民法」 バックナンバー
第1回 テーマ「意思表示(民法総則1)」 平成16年(2004年)度宅建試験問1(問題文表示

4-B.再び選択肢1を見る


 それで,改めて選択肢1を見てください.

選択肢1. Aの売渡し申込みの意思は真意ではなく,BもAの意思が真意ではないことを知っていた場合は,AとBとの意思は合致しているので,売買契約は有効である.

 「Aの売渡し申込みの意思は真意ではなく,BもAの意思が真意ではないことを知っていた場合」ですから,先述の通り,

■心裡留保の問題で,かつ,
■「BもAの意思が真意ではないことを知っていた場合」ですから,相手方は悪意(知っていた)ということですね.

 すると,相手方が悪意ですから,この場合は「無効」となります.従って,これを「有効」としている本肢は誤り=×ということがお分かりいただけると思います.

 本肢の上記部分が×と判明しましたから,その後の「AとBとの意思は合致しているので」は,○でも×でも,もはやどうでもいいといえばいいのですが,念のため説明しておきます.

■皆さんは,どう思いますか?AとBの意思は合致していると思いますか?

 そもそも売買契約とは諾成契約ですね.つまり,「売ります」という意思表示である「申込み」と「買います」という意思表示である「承諾」の一致により成立するわけです.

 ですから,例えば,「この唐揚げ弁当ください」という申込みに対して,承諾が「はい,毎度,その鮭弁当ですね」といった場合,申込みと承諾が不一致ですから,売買契約は成立しません.

 その上で本肢を見てみましょう.

■まず,Aの真意は何か,です.
「売渡し申込みの意思は真意ではなく」とありますから,「売りたくない」というのが,真意です.

■対してBはどうでしょうか.少なくともBは「Aは本心では売りたくない」ということを知っています.

 では,Bも「売りたくない」であれば,両者の意思は合致しているといえるでしょう.しかし,売りたくない者二人が顔をあわせても,そもそも売買契約云々という話にはなりません.ここで売買契約云々という話になっているのは,Bが「Aは本心では売りたくない」ということを知っていながら,でも買いたいと思っているからといえるでしょう.そういった意味で,AとBの意思は合致していない,ということができるわけです.

 続く

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2. 問題文(H16宅建問1)
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4. 選択肢1 を見る
 4-A. 民法93条【心裡留保
 4-B. 再び選択肢1を見る
5. 選択肢2 を見る
 5-A. 民法94条【虚偽表示】
 5-B. 再び選択肢2を見る
  5-C. 民法93条と94条の違い
6. 選択肢3 を見る
 6-A. 民法95条【錯誤】
  6-B. 民法93条-96条
7. 再び選択肢3と選択肢4を見る
 7-A. 民法96条【詐欺又は強迫】
 7-B. 更に選択肢3、4を見る

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