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第1項では,「詐欺又は強迫による意思表示は,取り消すことができる」とあります.これは簡単ですね.「取消し」と「無効」の違いは大丈夫でしょうか.また,「取り消すことができる」ですから,取り消しても取り消さなくてもよい,という意味である点をおさえておきましょう. 第2項はちょっとわかりにくいですね.具体的に考えてみましょう. Aを第三者,Bを表意者,Cを相手方とします. すると,「C(相手方)に対する(表意者Bの「売ります」という)意思表示について,A(第三者)が(表意者Bを)だまして,相手方Cに何らかの意思表示(「買います」)をさせたようなケースです. 表意者Bは,自分の自動車について,第三者Aから,「Bさん,あなたの車は事故車だから,はやく売り払った方がいいですよ」と嘘をいわれ,格安の値段で相手方Cに売ってしまいました. このような場合,表意者Bはだまされていたとはいえ,すべての場合に取消しを認めると,相手方Cの利益を害します.Cにすれば,「今更,自分が詐欺にあったから取消すと言われても困る.Bさんが詐欺にあったことは自分には関係ないし,むしろそれはBさんとAの問題でしょう」というわけです. そこで,相手方Cが知っている(=悪意)場合にだけ取消しを認めた(この例でいうと,表意者Bさんは第三者Aにだまされて格安の値段で自分に車を売ったという事情をCが知っていた,という場合)わけです(Cの悪意のみでなく,有過失も含むとされています). 最後に,第3項ですね.これは,もう皆さんにはお馴染みの規定になりつつありますね.「第1項と第2項の詐欺による意思表示の取消しは,表意者が詐欺にあって意思表示をしたということを知らない(善意)第三者に主張できない,つまり,取り消すことができない」ということになります.ここで,注意していただきたいのは,強迫によりなされた意思表示を取り消す場合は,善意の第三者にも対抗できる=主張できる,ということです. これで,解説書に書いてある「詐欺の場合は,取消し可能,しかし,第三者には対抗できない.対して強迫による契約は,取消し可能,その取消しは第三者にも対抗できる.」という記述にたどりついたわけです. あわせて,相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合には,相手方がその事実を知っていたときに限り,その意思表示を取り消すことができるという第2項の規定内容もおさえておいてください. ここで,選択肢の検討に入りたいのですが,皆さん,せっかくの機会ですから,もう一点補足させてください.それは,「要素の錯誤」で無効になる場合,善意の第三者にこの無効が主張できるか?という問題についてです.
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