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行政書士講座「過去問に学ぶ民法」 バックナンバー
第1回 テーマ「意思表示(民法総則1)」 平成14年(2002年)度行政書士試験問題27(問題文表示

4.選択肢1を見る


選択肢1. 使者が本人の意思を第三者に表示する場合,その意思表示に錯誤があったか否かは,使者を基準に判断する.

■「使者が本人の意思を第三者に表示する場合」
 「使者(シシャ)」とは,自ら意思決定をする代理人と区別する意味で用いられる概念です.従って,使者には代理人とは異なり,意思決定の自由がありません.代理と類似する概念として説明されるのが一般的ですが,この使者には「伝達機関としての使者」(本人以外の者で本人の完成した意思表示をそのまま伝達する使者)と「表示機関としての使者」(本人の決定した意思を表示してその意思表示を完成させる,口上を伝える伝令のような使者)に分けられます.
 本肢は,「使者が本人の意思を第三者に表示する場合」とありますから,ここは,「表示機関としての使者」に関する問題です.
 また,「第三者」とは,「使者」と「本人」に続く第三の登場人物ですね.この場合は,主に取引の相手方を指します.

■「その意思表示に錯誤があったか否か」
 「表示機関としての使者」は,先にも説明した通り,本人の決定した意思を表示してその意思表示を完成させる使者です.従って,表示機関としての使者が本人の意思と異なることを相手に表示してしまった場合は,どうなるか,という問題が起きる可能性があるわけです.このため,本肢では「錯誤」が問題になっています.
 「錯誤」に関する規定は民法95条なのですが,本問を解く上では必須の知識ではありませんので,この条文の検討は,次肢の解説に譲りたいと思います.

■「使者を基準に判断する」
 上記のように「表示機関としての使者が本人の意思と異なることを相手に表示してしまった場合」,誰の錯誤として処理されるのか,それは「使者を基準に判断する」とするのが本肢で,それは妥当か否か,というわけですね.

■使者は,道具のようなもの
 自ら意思決定の自由がない使者というのは,基本的に道具と同じです.例えば,私が何か意思決定をして,その内容を電話で相手に伝えたとします.この場合,私は肉声で伝えたわけではありません.電話線を通して電波で伝えたわけですね.この電波の役割を人間がした,というのが使者のイメージと考えていただければ,わかりやすいと思います.そう考えると,使者が本人の意思と異なることを相手に表示してしまった場合,誰の錯誤として処理されるのかという問題を考える際,「電話線を通る電波だ」と思う人はいませんね.どう考えても本人の錯誤となります.つまり,本人の内心と表示の不一致として処理されるのです.従って,基準はあくまでも「本人」となるわけですね.

 従って,「使者を基準に判断する」とする本肢は「妥当でないもの=×」となり,本問は,「妥当なもの=○」を選ぶ問題ですから,正答ではない,となります.

 続く

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1. テーマ「意思表示(民法総則1)」
2. 問題文(H14行政書士問題27)
3. 問題文から、ここまでわかる

4. 選択肢1を見る
5. 選択肢2を見る
 5-A. 民法93条【心裡留保】
 5-B. 民法94条【虚偽表示】
   5-C. 民法93条と94条の違い
 5-D. 民法95条【錯誤】
  5-E. 民法96条【詐欺又は強迫】
  5-F. 民法93条-96条
6. 再び選択肢2を見る
7. 選択肢3を見る
8. 選択肢4を見る
9. 選択肢5を見る

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